第二新卒のIT転職、よくある5つの不安と解消法|「早期離職」は本当にハンデなのか、データで見る現実

第二新卒IT転職の不安

新卒で入社した会社を、わずか1〜2年で辞める──。

この選択に、強い不安を感じている人は多い。「忍耐力がないと思われないか」「未経験の自分にIT業界で居場所はあるか」「面接で辞めた理由をどう説明すればいいか」。一度の決断がキャリア全体を損ねるのではないかという恐怖が、一歩を踏み出せない最大の原因になっている。

だが、そのほとんどは旧来の慣習に基づく錯覚である。データを見れば、20代の若手は採用市場で強く求められており、未経験の20代採用に積極的な企業も多い。IT分野の求人倍率は全職種平均を大きく上回り、IT特化サービスを通じた転職では定着率97%という調査もある。新卒3年以内に約3人に1人が離職する今、早期離職そのものは決して珍しい選択ではない。

本記事では、第二新卒のIT転職で多くの人が抱える「5つの典型的な不安」を、JILPT・厚労省・マイナビ・ベイジ・転職ドラフトなどの調査データで構造的に解消していく。読み終えたとき、あなたの中にあった漠然とした不安は、「次の一歩をどう踏み出すか」という具体的な行動プランに変わっているはずだ。

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目次

なぜ第二新卒のIT転職で不安が生まれるのか──5つの典型パターン

まず、多くの第二新卒が抱える不安を5つに整理しておこう。この5つは、表面的には別々の悩みに見えるが、実は共通する構造を持っている。それは、「主観的な認識」と「客観的な実態」の間に大きな乖離があるという点だ。

不安主観的な認識客観的な実態
① 早期離職のレッテル「忍耐力がない」と思われる新卒3年以内離職は約3人に1人、20代採用に積極的な企業が多数
② スキル不足「未経験では相手にされない」高い求人倍率、2030年に最大約79万人不足の市場
③ 面接での説明「前職を辞めた理由をどう伝えれば…」リフレーミング技法で「前向きな決断」に変換可能
④ ブラック環境への恐怖「また過酷な現場では…」IT特化サービスの転職後定着率97%という調査も
⑤ キャリアの将来性「一度の失敗で終わり」エンジニアの7割が転職前提、6割が5年以内を想定

(出典:厚労省、マイナビ、ベイジ、Geekly等の各調査。詳細は本文と末尾参照)

この表だけ見ても、「不安」と「実態」のギャップがかなり大きいことが分かるはずだ。次章から、1つずつデータで深掘りしていく。

不安① 早期離職のレッテル──企業は本当に「辞めた人」を嫌うのか

第二新卒にとって最も根深い不安が、「新卒で入った会社を1〜2年で辞めた自分は、忍耐力のない人間として扱われるのではないか」という恐怖だ。日本の旧来的な企業文化では、早期離職は「適応能力の低さ」の象徴として扱われてきた。その歴史の残り香が、今も若者の自己肯定感を損ねている。

しかし、データが示す現実は全く違う。

そもそも早期離職は「珍しくない」

厚生労働省の最新公表値(令和4年3月卒業者)によれば、新卒で入社した人の3年以内離職率は大学卒で33.8%、高校卒で37.9%に達する。つまり大卒の約3人に1人が、3年以内に最初の会社を離れている。早期離職は、あなただけの特別な「失敗」ではなく、若手の労働移動として広く起きている現象だ。この事実を知るだけでも、過度な負い目は和らぐはずだ。

企業は20代の若手を積極的に採りにいっている

第二新卒を含む20代の若手は、採用市場で強く求められている。マイナビの中途採用状況調査2025年版(2024年実績)によれば、20代採用を実施している企業は91.5%にのぼり、2024年に前年より中途採用に積極的だった採用属性でも「20代採用」が最多だった。さらに、20代の未経験者採用に積極的な企業は61.1%を占める。「未経験の20代」は、多くの企業にとって歓迎される対象なのだ。

採用枠の扱いについても、参考になるデータがある。やや古い調査だが、JILPT(労働政策研究・研修機構)の研究報告書『大都市の若者の就業行動と移行過程』(2005年)では、第二新卒者を採用した企業のうち、その採用枠を「中途採用者と同じ枠」とした企業が51.9%、「新卒者と同じ枠」とした企業が40.1%という結果が示されている。これは第二新卒専用枠の比率ではなく採用枠の扱いに関する回答だが、第二新卒が新卒・中途どちらの文脈でも受け入れられうることを示している。

企業側の本音──なぜ22〜23歳の早期離職者を評価するのか

企業の採用担当者・人事責任者の視点に立つと、第二新卒、特に22〜23歳の層を採用することには、新卒採用でも経験者採用でも得られない独自の合理性がある。理由は大きく3つに整理できる。

最も分かりやすいのが教育コストの最適化だ。新卒の場合、入社後の数ヶ月は電話応対、名刺交換、メールの書き方といった「社会人基礎力」の教育に時間を費やさざるを得ない。ところが第二新卒は、前職での短期間の勤務を通じてこれらの基礎を既に身につけている。採用初日から仕事の中身の話ができるという効率性は、採用側にとって地味ながら大きな利点になる。次に効いてくるのが、染めやすさである。経験を長く積んだ層になると、前職の成功体験や仕事の進め方が「アンラーニング(学習棄却)」の障壁になりやすい。「前の会社ではこうだった」と無意識に比較してしまうのだ。その点、第二新卒は柔軟性が高く、自社の文化や手法に馴染ませやすい。そして見落とされがちなのが、時間的な資本である。22〜23歳で採用した人材が3年かけて一人前に育っても、まだ25〜26歳。その後10年、20年にわたって技術革新の最前線で活躍し続けられる余白が残っている。エンジニアにとって、若さそのものが貴重な「資本」なのだ。

特に第二新卒を評価する企業タイプ

すべての企業が早期離職に同じ態度を取るわけではないが、以下の企業群は22〜23歳の転職を「論理的な決断」として評価する傾向にある。

企業タイプ評価の傾向早期離職への見方
大手IT企業社会貢献意欲と論理的思考を重視キャリアの再構築として受容
ITベンチャー行動力、変化への適応力を最重視「逃げ」ではなく「攻め」の選択
SES・受託企業学習意欲と誠実さ、教育のしやすさ教育コストが低い若手として歓迎
伝統的企業のIT部門前職の業界知識(ドメイン知識)を期待異業種からの人材として期待

「早期離職の負い目」は、旧来型の終身雇用を前提とした価値観の残滓である。今のIT業界では、ミスマッチを自覚しながら時間を浪費するよりも、早めに新たな道を選ぶ行動力が、むしろ論理的な決断として評価される場面が増えている。

不安② スキル不足──未経験の若手を企業が「育てたがる」理由

2つ目の不安は、「プログラミング一行書けない自分に、IT業界で居場所はあるのか」という技術的劣等感だ。

この不安は強烈だが、IT市場の構造的データを見れば、22〜23歳の未経験者こそ、企業が獲得したい層であることが見えてくる。

市場データが示す需給の逼迫

経済産業省の2019年の試算によれば、IT人材は2030年に最大で約79万人(78.7万人、高位シナリオ)不足するとされている。中位シナリオでも約45万人の不足だ。これは2019年時点の将来推計である点には注意が必要だが、IT人材の需給が長期的に逼迫する見通しは、その後も繰り返し語られている。

求人倍率の高さも、それを裏付ける。東京ハローワークの職種別統計では、「IT技術関連」の有効求人倍率は2024年7月時点で3.19倍を記録した。2026年に入ってからも、1月3.19倍、3月3.04倍、4月2.85倍と、全職種平均を大きく上回る水準で推移している(いずれも東京ハローワークのIT技術関連の有効求人倍率)。なお、転職サービスのdodaが独自に集計する転職求人倍率では、エンジニア(IT・通信)職種が2026年3月時点で10.68倍とさらに高い数字も出ているが、これはハローワークとは母集団・定義が異なる別指標なので、単純に同列で比較はできない。いずれの指標でも、ITは「求職者一人に対して複数の求人がある」売り手市場が続いていることが共通している。

この需要過多の状態において、企業は「現時点でのスキル」よりも「将来の成長性」に投資せざるを得ない状況に置かれている。技術が短いサイクルで進化するIT業界では、今持っているスキルより、学び続ける力の方が重要視されやすいのだ。

22〜23歳の「成長余白」が最大のメリット

22〜23歳という年齢は、教育による吸収力が高く、企業にとって「自社に最適な技術者に育てやすい」というメリットを意味する。

新卒より1〜2年分の社会経験があり、基礎的なビジネスマナーや報連相の感覚は身についている。かつ、新しい技術体系を柔軟に吸収できる。「半年後、1年後にどこまで伸びるか」が評価の中心軸になる年代だ。

スキル不足を過度に恐れる必要はない。むしろ、伸びしろのある投資対象として見られている面がある。

成功者が実践している「意欲を行動で証明する」最低限の準備

もちろん、「スキルなし、意欲もなし」では評価されない。成功した第二新卒エンジニアに共通するのは、「エンジニアになりたい」と言うだけでなく、小さな行動で意欲を証明している点だ。

  • プログラミング基礎の独学:Progate、ドットインストール等で入門レベルの文法を履修
  • 資格による可視化:ITパスポート、基本情報技術者試験の取得でスキルを客観証明
  • 前職経験の再定義:接客や営業で培った「傾聴力」「調整力」を、開発現場で活きるスキルとしてアピール

特に3つ目は見落とされがちだ。「エンジニアはPCに向かうだけの仕事」という誤解を捨てること。実際には、要件定義、顧客折衝、チームコミュニケーションなど、人間力が不可欠な場面が多い。前職が接客や営業だったことは、IT業界ではむしろ武器になる。

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不安③ 面接での説明──「なぜ辞めたのか」を前向きに変えるリフレーミング技法

面接で必ず聞かれるのが「なぜ前職を1年で辞めたのか」という質問だ。この質問への答え方こそが、第二新卒転職の勝敗を分ける最大のポイントと言っていい。

面接官が本当に見ているもの

この質問で、面接官は転職理由そのものを知りたいわけではない。見ているのは、「再現性のない感情的判断」なのか、「論理的な決断」なのか、という2点だ。

  • 感情的な不満を吐露する候補者 → 「うちに入っても同じ理由で辞めるかも」
  • 構造的な課題として言語化できる候補者 → 「論理的に物事を考えられる人材」

つまり、同じ「辞めた理由」でも、語り方次第で全く逆の評価を引き出すことができる。この技法が「リフレーミング(枠組みの再定義)」だ。

Before/Afterのリフレーミング例文集

リフレーミングは、嘘をつくことではない。自分の経験から普遍的な価値を抽出して言語化する、知的な作業だ。代表的な3パターンを例文で示す。

例①:残業・労働環境への不満

❌ Before
「前職は残業が多く、体力的にも精神的にも限界だったので転職したいと思いました」

✅ After
「前職で業務プロセスの非効率さを日々感じる中で、自分自身が技術を身につけて仕組みを改善できる側に回りたいと考えるようになりました。早期のキャリアチェンジは、時間を無駄にしない最適な選択だと判断しました」

例②:人間関係の悩み

❌ Before
「上司との関係が悪く、チームの雰囲気も合わなかったので…」

✅ After
「成果が個人のアウトプットとして明確に評価される環境で、技術と成果に向き合う仕事がしたいと考えました。チームで目標に向かって協働する体験をより深めたい気持ちが強まり、早期の決断をしました」

例③:キャリアの不透明さ

❌ Before
「このまま続けても将来が不安だったので…」

✅ After
「前職で自身の市場価値を客観的に考えたとき、技術というポータブルスキルを20代のうちに身につける重要性を強く認識しました。長期的なIT人材不足を見据え、早期にキャリアを再設計することが、長期的に社会に価値を提供する最適な道だと結論づけました」

リフレーミングを成立させる3つの変換ルール

上記の例文に共通する変換の型は、煎じ詰めれば3つに集約できる。

ひとつ目は、不満を課題認識に置き換えること。「〜が嫌だった」という主観的な感情を、「〜という構造的課題を認識した」という客観的な分析の言葉に翻訳する。ふたつ目は、逃避を前進に置き換えること。「〜から逃れたい」という後ろ向きの動機を、「〜に挑戦したい」という前向きの目標に組み替える。そして3つ目が、個人の感情を社会への貢献に接続すること。「自分がつらい」という小さな主語を、「業界や社会に価値を提供したい」という大きな主語へと引き上げる。

この3つの型を意識すれば、どんな転職理由も「目的意識の高い若手」という評価を引き出す語り口に変換できる。面接官の警戒心を解くだけでなく、むしろ「論理的に考えられる候補者」として記憶に残る武器になる。なお、この言語化を一人で詰めきるのは難しいので、書類添削や面接対策に強い第二新卒特化型のエージェントに壁打ち相手になってもらうと精度が上がりやすい。

不安④ ブラック環境への恐怖──IT業界の「リアルな労働実態」データ

「また過酷な現場に入って、同じことを繰り返すのでは」──この恐怖は、一度ミスマッチを経験した第二新卒にとって、最も切実な不安の1つだ。

だが、IT業界の労働環境データを正確に把握すれば、IT業界は労働環境の整備が比較的進んでいる選択肢であることが見えてくる。

転職後定着率と満足度のリアル

IT・Web・ゲーム業界特化のエージェントであるGeeklyの公表値では、転職後の職場定着率は97%(2024年3月時点)とされている。これは特定サービスの利用者ベースの数字だが、適切なマッチングを経た転職であれば、入社後に長く働き続けられる可能性が高いことを示している。満足度についても、マンパワーグループの2025年の解説記事では、ITエンジニア職で転職した人のうち、現在の会社に満足している人が6割を超えるという紹介がある(同社記事ベース)。これらは母集団や調査条件が異なるため断定はできないが、IT転職後の定着・満足がおおむね良好であることを示す材料にはなる。

「IT業界は過酷」というイメージは、2000年代初頭の多重下請け構造が蔓延していた時期の残像に引きずられている面がある。2020年代後半の現在、特にDX推進や内製化の流れの中で、エンジニアの労働環境は改善傾向にある。

働き方の柔軟性──制度整備が進む業界

IT業界の労働環境が相対的に優位なのは、満足度だけではない。働き方の柔軟性において、他業界より進んでいる面がある。

パーソル総合研究所の2025年の調査では、情報通信業のテレワーク実施率は56.3%で、業種別でも高い水準にある(正規雇用社員ベース)。フレックスタイム制の普及や、副業許可・育児介護との両立制度の整備も、IT・情報通信業では相対的に進んでいる。22〜23歳が重視する「柔軟な働き方」を実現しやすい環境が、制度として整いつつあるのだ。通勤時間の削減、居住地の自由度など、QOL要因でもITは選択肢が多い。

ブラック企業を見抜く5つのチェックポイント

ただし、IT業界の中にもブラック企業は存在する。「IT業界だから安全」なのではなく、「IT業界で、これから挙げる項目を満たす企業だから安全」と捉えるのが正しい。確認すべき観点は5つある。

まず見るべきは残業時間の実態だ。平均残業時間が具体的な数値で開示されているかどうか。「少なめ」「業務次第」といった曖昧な表現でぼかす企業は、それ自体が黄信号である。次に研修制度の具体性。「充実した研修」という言葉だけでなく、期間・内容・メンター制度の有無まで明示されているかを見る。未経験者にとっては、伴走してくれる制度があるかどうかが立ち上がりを左右する。SES企業であれば、配属先の透明性も外せない。配属の希望がどこまで通るのか、「希望を聞きます」と言いながら実態は人数合わせで決まる企業も少なくない。さらに評価制度の明確さ──昇給基準が主観ではなく、数値・スキル・資格取得などに紐づいているか。「頑張りを見ます」では基準として機能しない。最後に離職率の開示だ。離職率を明示しない会社は、開示できない事情があると考えるのが自然で、逆に堂々と数字を言える会社は一定の健全さがある。

要するに、ブラック環境を避ける鍵は「なんとなくのイメージ」ではなく、これら5点を面接やカジュアル面談で具体的に確認できるかどうかにかかっている。質問しづらいと感じるかもしれないが、聞けない会社こそ警戒すべき、というのが実態に近い。

🛡️ ブラック企業排除に強いエージェントへ
「ブラック企業を排除する」を明確に掲げているエージェントもある。第二新卒・未経験向けの具体サービスは未経験向けIT転職エージェント徹底比較で確認できる。

不安⑤ キャリアの将来性──一度の転職で「終わる」時代はもう来ない

5つ目の不安は、「一度の転職に失敗したら、もう後がないのでは」という恐怖だ。だが、この感覚は、IT業界の現在のキャリア観からすると時代遅れになりつつある。

IT業界の新しいキャリア観

株式会社ベイジの『エンジニアの転職実態調査(2025年版)』によれば、今後も転職を想定して働くエンジニアは70.8%、そのうち5年以内の転職を想定する人は62.73%にのぼる(調査対象は過去5年以内に転職活動をしたITエンジニア1,154名)。

つまり、一社で骨を埋めるというモデル自体がIT業界では旧式化しつつあり、転職を繰り返しながらキャリアを最適化していくスタイルが広がっている。若年層が抱く「一社目で失敗した」という感覚は、IT業界の流動的なキャリア観からすれば、むしろ「早期に最適な環境への移行を開始した」と前向きに解釈できる。なお、同じベイジ調査では、エンジニアの転職動機の上位が「給与が低い」41.68%、「仕事量や残業が多い」35.01%となっており、処遇と労働負荷が転職の主要因であることも示されている。

年収の底上げ

「でも給料は大丈夫なのか」という不安にも、データが参考になる。

転職ドラフト(リブセンス)の分析によれば、ITエンジニアに対して企業が指名時に提示する平均年収は、2020年〜2024年の5年間で147万円増加した。提示年収の中央値も、2020年1月の624万円から2024年12月には800万円に達している。ただし、この800万円は「第二新卒の年収」ではなく、転職ドラフトに登録するITエンジニア全体に対する提示年収の中央値である点には注意してほしい。第二新卒がいきなりこの水準になるわけではない。それでも、業界全体の年収水準が底上げされており、実務経験を積むほど高い年収帯に近づける構造があることは読み取れる。

未経験からスタートする第二新卒であっても、3〜5年の実務経験を積むことで、同年代の他職種より高い年収水準に到達することは十分に可能だ。

ポータブル・スキルという生涯の武器

ITスキルの最大の利点は、それが特定の企業に依存しない「ポータブル・スキル(持ち運び可能なスキル)」である点だ。

一度エンジニアとしての実務経験を積めば、その後は転職でより条件の良い企業へ移る、フリーランスとして案件を選ぶ、自分のプロダクトで起業する、本業を続けながら副業で収入源を増やす、といった複数のパスを選べるようになる。

2030年に最大約79万人不足という2019年の試算は、裏を返せば「スキルさえあれば、長く仕事に困りにくい」という安心感の根拠にもなる。22〜23歳で抱く「早期離職の不安」を相殺して余りある、長期的なリターンがここにある。

3ヶ月で内定を取る戦略的ロードマップ

ここまで、5つの不安をデータで解消してきた。最後は、具体的な行動プランだ。

第二新卒は「早く決まりやすい」年代

第二新卒・20代向けのエージェントでは、内定までのスピードが速い傾向がある。第二新卒エージェントneoの公式情報では、内定までの期間が「最短2日・平均26日」と案内されている(ただし対象は第二新卒に限らず、既卒・フリーターを含む20代全般で、起点の定義は要確認)。なお「20代前半の転職活動期間は平均2.3ヶ月」という数字もよく引用されるが、これは厚労省調査をもとにした二次的な推計とみられ、一次資料での明示は確認できていないため、目安として捉えるのがよい。

いずれにせよ、第二新卒のポテンシャル採用は枠が限られているため、動き出しが早い候補者ほど有利になりやすいのは確かだ。

3ヶ月ロードマップ

以下のスケジュールで動けば、3ヶ月前後での内定獲得が現実的な目標になる。

期間やることゴール
1〜2週目自己分析、転職の軸構築、リフレーミングの言語化「なぜIT」「なぜ今」の論理的整理
3〜4週目エージェント登録(2〜3社併用)、企業選定非公開求人を含む情報収集
5〜8週目書類選考、面接対策、IT業界特有の面接(論理的思考チェック)練習面接通過率を高める
9〜12週目内定獲得、現職との円満な退職交渉、入社準備1〜3ヶ月後の入社日設定

重要なのは、最初の2週間で「転職の軸」と「リフレーミング」を仕上げることだ。ここが曖昧なまま面接に臨むと、どれだけ意欲があっても評価されにくい。逆に、この2週間を真剣に投資すれば、残りの10週間の転職活動の質は一気に上がる。

第二新卒向けのエージェント利用者では、平均年収アップ額が113万円という公表値もある(第二新卒エージェントneo。対象は20代全般で、第二新卒限定の数字ではない)。前職の年収水準によって結果は変わるが、若手の転職が必ずしも年収ダウンを意味しないことは押さえておきたい。

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まとめ|早期離職の負い目を捨て、デジタル社会の先駆者へ

本記事で示した5つの不安は、いずれも「過去の慣習」に基づく錯覚である部分が大きいことが、データで確認できた。

  • 早期離職は珍しくない──新卒3年以内離職は約3人に1人、20代採用に積極的な企業が多数
  • 未経験は「成長余白」──高水準の求人倍率と、2030年に最大約79万人不足の市場(2019年試算)
  • 面接は「リフレーミング技法」──不満を課題認識へ変換
  • ブラック環境は「5つのチェック」で回避可能──IT特化サービスの定着率97%という調査も
  • キャリアの将来性は「ポータブルスキル」が支える──エンジニアの7割が転職前提の時代

22〜23歳という、やり直しが容易で学習効率の高い時期にIT転職を決断することは、長期的には合理的な投資判断になりうる。

「なぜ辞めたのか」という過去の問いに怯える必要はない。重要なのは、「これからITの力で何を成し遂げたいか」という未来への問いに、自らの言葉で答えることだ。その答えを持ち、最初の一歩を踏み出したとき、かつての不安は、将来のキャリアへの確かな手応えへと変わっているはずだ。

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📌 参照した調査ポイント

  • 厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」(2025年公表):新卒3年以内離職率 大学卒33.8%・高校卒37.9%
  • マイナビ「中途採用状況調査2025年版(2024年実績)」:20代採用実施企業91.5%、20代未経験採用に積極的な企業61.1%、前年より積極的だった採用属性で20代採用が最多
  • JILPT 研究報告書『大都市の若者の就業行動と移行過程』(2005年):第二新卒採用企業の採用枠は中途と同じ枠51.9%・新卒と同じ枠40.1%(やや古い調査のため参考値)
  • 経済産業省「IT人材需給に関する調査」(2019年):2030年にIT人材が最大約79万人(78.7万人)不足、中位約45万人、先端IT人材は最大73.7万人不足(いずれも2019年の将来推計)
  • 東京ハローワーク「職種別有効求人・求職状況」:IT技術関連の有効求人倍率 2024年7月3.19倍、2026年1月3.19倍・3月3.04倍・4月2.85倍(doda転職求人倍率のエンジニア10.68倍とは定義・母集団が異なる別指標)
  • Geekly 公式:転職後の職場定着率97%(2024年3月時点)
  • マンパワーグループ 解説記事(2025年):ITエンジニア転職者の6割超が現職に満足(同社記事ベース)
  • 株式会社ベイジ「エンジニアの転職実態調査(2025年版)」(ITエンジニア1,154名):今後も転職を想定70.8%、5年以内の転職想定62.73%、転職動機上位は給与41.68%・仕事量や残業35.01%
  • 転職ドラフト(リブセンス):ITエンジニアへの企業の平均提示年収が5年間で147万円増、提示年収中央値は2024年12月で800万円(登録エンジニア全体の提示年収であり第二新卒の年収ではない)
  • 第二新卒エージェントneo(ネオキャリア)公式:内定まで最短2日・平均26日、利用者の平均年収アップ額113万円(対象は既卒・フリーター含む20代全般)
  • パーソル総合研究所「テレワークに関する調査」(2025年):情報通信業のテレワーク実施率56.3%